「上を向いて歩こう」という坂本九の世界的ヒットがありました。
いつも現場で上を向いて工事の進行具合を見張ってばかりですが、この歌の歌詞の奥深さにふと気が付いたのは夕べでした。
悲しみの出来事に直面すると多くの人は涙がでます、知らず知らずに出てきます。
不幸にもこの回数が多い人はそれを堪えるために上を見ている習慣が出来てしまうそうです。
たまにそんな人に出くわすことがあります、意味が分からないのだけれど何故か上を向いて視線を反らして会話をする人。
一見失礼な対応に捕らえてしまうことがありますが、最近では「この人はきっと何か悲しいにことにあっているの違いない」と考えるようになりました。
建築現場では上からモノが落ちてこないか注意するために上を向くこと、出来具合を確認するために上を向くこと、どれも心の問題とは関係のない行動です。
しかし「上を向いて歩こう」の詩では上を向けばいつも空があり、空は相変わらずの雄大さで慰めてくれる、同様に気を紛らわせてくれる「現場」があるのは幸せな証拠のようです。
そんな意味では同じ「救い」かもしれません。
構造偽装のお陰で心に触れるデザインを軽視するような流れになってしまっていますが、細やかな心で建物を眺めることも必要なのではないでしょうか。