現場監理と床板の傷

ごく最近ですが、エキスポランドの事故を受けてコメントしていらっしゃった東大の先生が「失敗学」なる学問を体系化されているのをテレビの放送で知りました。

さすがに機械工学の先生だけに今回の事故は「金属疲労」のランクに入り、人為的要素の少ない部類だということです。

ただし現在の段階ではということでしたが。

建築の世界にも「失敗学のすすめ」なる本にお世話になる要素がありそうだと思い、さっそくお得意の楽天ブックスにてネット注文しました。

残念ながら表題の内容も「失敗学」に大いに関係しそうです。

建築工事をする以上、仕上の状態の良し悪しは人間と癌の関係、人間とエイズウイルスの関係にも似ています。

仲良くしたくはないが、一旦現れたら仲良くしざるをえない、付き合いたくない友人のような、もちろんそんなにノンキにはしていられないのですが。

建築を請け負った現場管理者の責任ですとばかりにスジ論を通していても、現に現場養生が悪ければ、監督さんの現場確認が悪ければ、あるいは協力業者さんの不可抗力が防止できなければ、避けたくとも起きてしまうことです。

建築主さんにとって起きて欲しくない傷跡ですが、出来てしまった以上は補修工事を行うようより手はありません。

補修というと補って修めるので中途半端で気分が悪いのですが、この時代にはそれに対応できるプロや科学の進歩が生んだ薬剤や工法が存在しているようです。

そんな方法論を徹底的に研究し実行するのが最大の建築主さんにたいする償いになっていくのでしょう。

大げさにも聞こえる決意表明ですが、何度現場監理に立ち合っても考え直さざるをえない失敗学です。

建築が他の工学とは違う位置関係で人間の肌と接している証拠ではないでしょうか。


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