「あいつは骨のある奴だ」という言葉を聞くことは少なくなってしまいました。
「骨のある」とは、何に関しても絶対に外せぬものごとの基本を押さえた考え方を持っているとでも言いましょうか、小生の世界でいえば専門家としての専門性を外すことない生き方、仕事とでも言いましょうか。
残念なことに「何でもやります」という返事をオウム返しにする建築業者にはちょっとゲンナリしてしまいます。
「私どもにはこの仕事はお受けしかねます」といわれる方が何故か頼みたくなります。
あくまで専門家としての意見をキチンといえる人は無視できません。
日々の設計活動では、メーカーや販売代理店に製品の情報をいただくことがよくあります。どんなものにも長所と短所は表裏一体です。自社製品の売り込みだけでなく短所も正確に教えていただいていると、製品を指定して建築主へのコメンテーターとしての役割も担っている設計者として、引渡後のトラブルも未然に防ぐことも可能です。
「骨のある図面」を仕上げるには、そんな情報の集積に努めることも必要になります。
もちろん、過去の経験や研究の成果は当然それらをちりばめることや、工事の進行がスムーズにいくような図面のマトメ方も存在します。
小生は、図面の文字の大きさや配置、バランスや線の太さまでもが、それを左右すると信じてやみません。
ですから、絵的でない記号化された図面は嫌いです。記号化とは共通化を意味しており、個性を否定した行為なのです。
これは、サラリーマン化したドラフトマンには出来る芸当ではありません。
(若い設計者にもげきをとばしているつもり!!!)
そんな骨のある図面は現場の仕上がりも保証してくれることをよく知っているつもりです。まだ勉強中ですから「知っているつもり」になっているだけかもしれませんが。