今日はちょっと堅い話ですが、実質的で建設的です。
日本ではマイナーな存在の気密断熱システムかも知れませんが、「アイシネン気密断熱システム」という工法をご存じでしょうか?
専門家でない方で「知ってる、知ってる」なんてうなずかれる方がいらしたらビックリです。
この工法を知るまでは、みなさんも一度は新聞などでご覧になったことのあるような「外張断熱」や「内(軸間)断熱」という2大政党のように対立して論を戦わせている(正確にはテリトリー争いかも)大きな棲み分けが存在していますが、それらばかりに目がいってました。
小生も断熱を本格的にかじり始めたときは、室蘭工大の鎌田先生や南雄三さんの本を読んで研究してみたりして外張り断熱が理想に近いと考えていましたし、実際に設計に取り込んで実践してきました。
もちろん効果も実感できましたが、理想を追求するあまり、その複雑さや機械に頼りすぎていたりするのが気になっていました。
またプランが画一化する傾向があったり、現場管理の善し悪しが完成後の性能を落としたりしている現実の例も耳に入ってきていました。
本来、理想的な工法はもっとシンプルで分かりやすいのが真実であるべきだということに気が付き改善を考えていました。
断熱というのは建物内外の熱エネルギーの主に伝導や輻射による移動を押さえる効果、気密というのは建物内外の空気の対流による熱移動を押さえる効果、換気は建物内外の空気の移動をコントロールする役目といわれています。
暖冷房費を押さえるには基本的なこの3つをどう組み合わせるかです。
元来、寒冷地からはじまった高気密高断熱ですが、東海地方では冬の暖房ロスを逃がさぬように閉じたときには室内外の温度差が激しくないため、断熱性能よりは、より高気密が重要な要素となり、空気の移動による熱ロスを管理出来た方が効果が上がるということに注目しました。
また、熱の移動を押さえるには気密により空気に運ばれる熱を制限した方が良いという北米での理論にも同感したからでもあります。
外張り断熱には躯体内を通気して夏の涼しさを得ることを提唱している工法もありますが、気密性能が得られるのであれば体感的な涼感を得るように躯体内ではなく室内の通風の効果を目指した方がより原点に近く自然で良いと考えました。
すなわち高断熱高気密は東海地方では夏を旨とすべしとすれば冬は暖かく過ごせるいうことかもしれません。
涼感を得る通風に配慮したり、日差しを遮るのは昔から当たり前にやってきたことですが、何故か最近の住宅は庇をわざと短くして熱を入りやすくしておいて高価な熱反射ガラスを使ってみたり、風の通らないプランを率先して作ってしまっています。
単純で分かりやすい通風や日射遮蔽を先に書いた気密の効果に組み合わせることも考えています。
このあたりの理解には、もっと多くの字数が必要だろうと思いますがこのくらいにしておきます。
こんな思いを結晶させたのが「風を感じるオール電化」や「パッシブソーラーとオール電化」です。