野地板は野にあらず

建築の現場用語に「野」と「化粧」という言葉を使うことがあります。

「化粧」は化粧柱、化粧材、化粧板など、完成段階では表に見えてくる材料、「野」は野地、野もの、といった具合に主に下地となる隠れる部分で仕上げをしない部材を指したりします。
野地板は屋根の防水材の下に張る板材のことで、伝統工法ではヒノキや杉の板を勾配方向に張られてあるのを見た方もたくさんおられることでしょう。

「捨て」という言葉もよく使いますが、床下の捨て張りなどもバリヤフリーには欠かせない工程になってきております。

これらの屋根の野地板や床の捨て張り板が、今となっては一躍スターダムに(木造の構造の世界では、)のし上がってきました。

何故かと言えば、垂直方向の耐震壁ばかり丈夫にしても、水平方向の床や屋根を丈夫にしないと地震力は伝わらないからです。
専門家でなくても想像つきますよね?箱の横面があって上面がなければ壊れるに決まってますでしょ?

もちろん伝統工法でもそれらの部材を「野」とネーミングしてきた事情は歴史的にも工法的にもはっきりしておりますが、現代の木造ではこの「野」の一文字は下地となる捨て材ではなく、隠れた力持ちとして解釈し、釘やビスの数、打ち込むピッチ、使用する工具まで見守って丁寧に作業してやる必要の出てきた主役のひとりです。

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